さちこ『僕は兄になりたかった 』

友人にやってみればと言われて、基本的にいつするかなーでしない自分ですが、この作品がTwitterで推されてて、それで読んでから猛烈に書きたくなってこのブログ始めました。

さちこさんの「僕は兄になりたかった」です。

基本的なプロフィールは下の方に貼ってある作品のやつで見てください。

大いにネタバレみたいなことするから、嫌な人は一番下の作品を読んでから読んでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

登場人物は二人で、清水稜平(弟)と清水泰平(兄)の兄弟

弟の稜平は文才の持ち主ながらにして、すごいメンタルが不安定で自己評価が著し低い典型的物書きの人。それで、天才あるあるの一点突破型故人に関心を持ってもらえなかった人(例:親に勘当される所)。

兄の泰平はすごい気前のいい‘‘何者‘‘にもなれなかった凡人。恐らく、人に関心を持ってもらえなかった人だと思う(例:序盤の木村さん)。

この作品って持たざる者同士が互いに羨望しあって、動いた結果ハッピーエンドになるお話で、

弟の場合は、性格や能力に難あり(自己評価の著しく低いところ等)のせいで他人に正当に評価してもらえなかったんですよ。しかし、兄の泰平だけが、自分の優れているところである文才を認め、彼を養い続けていくんですよね。そのことに対して稜平は命の恩人でかつ‘‘自分の世界‘‘として感謝すると共に彼の人間らしさに羨望を抱きながら、完璧に依存してるんですね。

一方兄の場合は、気前が良くて、普通には世界に居れるんだけど、普通が故に飛びぬけた何かがないから魅力がなく、世間的にはうまくいっていても、好きな人には見向きもされないんですよね。よって、自分がただの凡人であり、弟はすごく恵まれたものを持っていると幼少期に気づいて以来その才能に羨望しつつ、こいつはすごいやつってのを思い続けてる。俺には才能はないけど、こいつに才能があることを知っているから(ドヤ)で自尊心保ってるのかなとか勝手に思ってた。

それが、兄のお節介によって世界が激変していき、弟はアイデンティティの確立と‘‘世界‘‘の拡大、兄は好きな人と恋仲になれたことと弟がやっぱりすごいやつだったという自己の証明。双方ともに得るものもありながら、兄は弟を思う気持ち弟は‘‘世界‘‘の全てであった兄とお互いに失うものもあって、得るものを可視化できた兄と得たものが可視化できなかった(しなかった)弟で、弟が絶望し崩壊して、転が発生するんですけど、それによって兄が不可視であった自分が失ったものに気付いて、兄が先導して、結果弟は失ったものと得たものが表裏一体の関係であるので不可視だった得たものに気付く。

その結果兄は恋人、弟は自身の才能を生かす場所と元々の生活では得られなかったものを手に入れハッピーエンドとなる訳ですが、

まず、兄弟愛の尊さですよ。お兄ちゃん滅茶苦茶いい人だし、世界から関心を持たれない弟に対して唯一関心を持ち続けて、二度も弟のことを引き揚げているんですよ。弟は自分のことをダメダメ言って悲観してるのにお兄ちゃんへの感謝の気持ちを抱き続けて生きてるし自分だけでこの作品がができたわけではないのを分かっているからこその作者名かなって思うと、いやーいい作品見たなぁって思うと同時に、僕自身‘‘何者‘‘かになりたくてなれなかった人なので、まーじでお兄ちゃんの気持ちが分かって「それそれそれそれだよそれなんだよ!!!」ってなってましたね。

作者の方がこの先どのような作品を描かれて行くかがとても気になるような作品でした。この方の別の作品読みたいですねぇ。みんな特に僕みたいに‘‘何者‘‘になれなかった人ぜひ読んでぇぇぇぇぇ

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